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モノクロフィルムの自家現像に必要な道具・薬剤と行う手順(作例あり)

モノクロフィルムを自家現像するようになり、フィルムで写真を撮るのさらに楽しくなりました。
自家現像というと難しそうで取っ付きにくそうでしたが、いざ初めてみると、温度と時間さえ管理できれば簡単に現像することが出来ます。
揃える物もそこまで多くないし、揃えてしまえば、ずっと使えるので、フィルムを続けるには非常にコストパフォーマンス的に良いです。
モノクロフィルム1本1,000円、現像だすと安いところでも約1,500円(データ化込み)で合計2,500円かかってしまうことを考えると、自分で現像した方が安いのは明白ですよね。
しかも、モノクロフィルムは店舗に出すと戻ってくるのに時間がかかってしまうのもネック…
なので、この記事では、自家現像に必要な道具と薬品、現像するための流れを書いていきます。
自家現像に必要な道具と薬剤(揃えるものリスト)
道具
- フィルムピッカー
- はさみ
- ダークバック
- 計量カップ
- 軽量スプーン
- 現像タンクとリール
- 薬剤保存タンク
- 漏斗
- 温度計
- タイマー
- フィルムクリップ
- バッド兼収納箱
- ゴム手袋
- ペーパータオル
- スポンジ
- ネガファイル
- The Massive Dev
自家現像をするためには、道具が必要になります。
上記に挙げるとたくさんあり揃えるのが大変に感じるかもしれませんが、100円ショップで揃えられるものが大半なので安く揃えることが出来ます。

フィルムピッカー
撮り終わったフィルムのベロを出すためにフィルムピッカーが必要になります。これがないと自家現像が出来ないので、必須ツールです。

はさみ
フィルムを切り取るためのはさみ。どこの家庭にも1つははると思うので購入しなくても良いでしょう。
時間現像用に購入するなら、100円ショップで揃えることが出来ます。

ダークバック
フィルムをリールに入れるために必要なダークバッグ。
暗室があるなら要らないが、暗室がなくてもダークバッグがあれば、フィルムが感光することなく作業をすること出来ます。
ちなみに、大きいサイズの方が余裕を持って作業が出来るのでおすすめです。使わないときは畳んで収納することが出来ます。

計量カップ
現像液などを計るときに使います。
①現像液、②停止液、③定着液、④水洗促進剤の4つあると、自家現像がスムーズに出来ます。
容量はLPLタンク(450ml)に合わせて軽量カップを選んでいます。現像タンクに合わせて軽量カップの容量も合わせると作業がスムーズに行きますよ。

軽量スプーン
現像液などを計るときに必要になります。小さじスプーン(5g)があれば計っていれることが出来るので1つあれば十分です。

現像タンクとリール
フィルムを入れるための現像タンクとリールです。
私は、2本用のステンレス LPLタンク(450ml)を使っていますが、このタイプの現像タンクは販売していないのでメルカリなどで揃える必要があります。
こだわりがなければ、フィルムが巻き取りやすい「Jian Cheng コンパクト現像タンク」が評判が良いです。

薬剤保存タンク
現像液などを保存しておくためのタンクが必要になります。
①現像液、②停止液(クエン酸)、③定着液、④水洗促進剤の4つは最低必要になりますが、現像液の種類や停止液の有無に保存タンクの数は変わってくきます。
初めての方は、最低4つは揃えておきましょう。

漏斗
保存タンクに現像液などを戻すときにあると便利です。現像液などは物によってはシミが出来たり臭いもあるので注意が必要です。

温度計
自家現像するには必須ツールです。
現像液の温度をだいたい20度前後をキープさせたいので、防滴タイプのデジタル温度計だと便利です。デジタルの方が時間かけずに計測できるのは良いですよ。
本数は必要に応じて増やしましょう。私は2本買いましたが、1本で足りています。

タイマー
現像時間などを計測するために必須ツールです。
スマホなどでも計測することが出来るので、自分が使いやすい方を選ぶと良いかもしれません。私は、The Massive Dev(アプリ)を使って計測しています。

フィルムクリップ
洗濯バサミなどで代用も出来るが、フィルムクリップがあると重しにもなるので、フィルムを乾かすときに丸まりを防止することが出来ます。
個人的には、あると便利ツールです。

バッド兼収納箱
必須ツールではないがあると便利。
温度調整バッドや水洗いのための水貯めとしても使えて、蓋があるので収納箱としても使えます。100円ショップの440円で販売しています。

ゴム手袋
現像液などを触ると手荒れたり臭いが付いたりするので、ゴム手袋があると手を守ることが出来ます。
自家現像に慣れたら使わなくなってしまう可能性もあるが、私は使っています。使い捨てだから衛生的です。

ペーパータオル
ネガを拭き取るときに、かなり便利なのがペーパータオルです。
これを使うようになってからは、水切り剤のドライウェルを使わなくなりました。うまく拭けば水滴やホコリも残りません。
普通に日常生活にも使えるし、洗って繰り返し使えるのでおすすめです。

スポンジ
水洗い後にネガの汚れなどをサッと流すためのスポンジです。
薬品の汚れなどもあるので、流した方がデジタルスキャンをするときも綺麗にスキャン出来ると思います。
これも100円ショップで手に入ります。

ネガファイル
現像したネガを大切に保管しておくためのネガファイルです。
たまにスキャンして捨ててしまう方もいるみたいですが、あとで引き伸ばしたりすることも出来るのでファイリングしておきましょう。

Massive Dev Chart Timer
Massive Dev Chart Timerは、各フィルムと現像液の現像時間と攪拌する時間を計ってくれるすぐれたアプリ。
有料のアプリではあるが、自家現像を続けていくならダウンロードしておいて損はありません。
Androidスマホのアプリしかないが、iPhoneの方はWebで時間だけなら確認することが出来ます。
「Massive Dev Chart Timerの設定方法と使い方」に詳しく書いたので、ぜひ参考にしてみて下さいね。

薬剤
- 現像液
- 停止液(クエン酸)
- 定着液
- 水洗促進剤
- 水切り剤
自家現像をするには、薬品を揃えなければなりません。
薬品も各会社から出ているが、そこまで高くないので揃えやすい薬品ばかりです。ずっと使える訳ではないので定期的に変えることになります。
とりあえず、現像液、停止液、定着液の3つを揃えたら現像することは出来ます。水洗促進剤や水切り剤は工程を楽にしたり仕上がりを綺麗にするための薬品です。
現像液
現像液によってネガの仕上がりが違ってくるので、安価で手に入りやすいミクロファインから使ってみて自分の好みの薬品を探すことをおすすめします。
以前は、粉末タイプで水に溶かし原液を使うタイプのミクロファインを使っていましたが、現在はロジナールに乗り換えています。
液体タイプ(原液)は、希釈し使い切りとして使うので、現像結果が安定しやすいのが良いですよ。
原液をそのまま使うと現像効果が薄れていくので、温度に関係なく使う度に時間の調整をしなければいけません。

停止液(クエン酸)or 水
現像を停止するためのクエン酸。
クエン酸を停止液として使う意味としては、現像をピタッと止めたいかどうかと思っています。普通の水道水でも停止液として使うことが出来るが、水だと緩やかに現像を止めるイメージです。
どちらも使ってみて、自分に合った方法を取る方がいいでしょう。私は、薬品を極力使いたくないので、水を停止液として使っています。
クエン酸は、100円ショップで簡単に手に入ります。

定着液
現像を停止させたら、現像をネガに定着するための定着液です。
スーパー フジフィックス- Lは、水に希釈して使うタイプなので、使い勝手の良い薬品です。うまく使えば長く使うことが出来ます。

水洗促進剤
水洗いの時間を短くするための水洗促進剤の富士QWです。
極端に水洗いの時間が短くなる訳ではないが、出来るだけ自家現像する時間を短くしたいので、使っています。
お値段も安いので購入しておきましょう。

水切り剤
ネガフィルムに、水跡が残らないようにするため薬品ドライウェルです。
初めのうちは使っていましたが、吸水性の良いペーパータオルを使うようになっねからは使わなくなりました。
正直なところ、使っても使わなくてもなく効果を感じなかったので、心配だったら使いましょうという薬品です。
私は、出来るだけ薬品を使いたくないので、ペーパータオルで十分だと感じています。

自家現像を行う流れ・手順
自家現像を行うには、パトローネの中からフィルムのベロを取り出すために、「フィルムピッカー」を使って取り出します。

ベロを出すにはコツがいるので、以下の動画を見て練習をしました。パトローネを回すカチって音が聞こえにくいので、耳を澄ましながらベロを出してくださいね。
慣れると簡単に出来ます。
ベロの部分を並行にはさみで切り取り、3番めの穴のところを折り曲げるとステンレスリールに巻き付けやすいです。

ここからはダークバックに入れた状態で、リールにフィルムを巻き付けていきます。ここで使うリールとタンクはステンレスLPLです。

リールの中心に爪があるので、そこにフィルムの穴に引っ掛けていきます。フィルムを折り曲げていると引っ掛かりやすいし、リールにも巻き付けやすくなります。

リールにフィルムを全部巻きつけると以下の画像のようになります。

フィルムとパトローネのギリギリのところをハサミで切り取ります。

フィルムをパトローネから切り離すことが出来たら、タンクの中に入れていいます。

蓋をするとこんな感じになります。

リールの巻き方は、以下の動画がすごく分かりやすかったので、LPLリールを使う方は目を通してからやってみて下さいね。
本番で失敗しないためにも練習用のフィルムを作り練習しておいた方が安心して自家現像を行えますよ。私も何度も練習しました。
現像を始める前に、まずは各薬品の温度を計ります。だいたい20度前後を目安にしています。
低くて18度、高くて22度ぐらいなら温度調整はせずに現像を行っています。
冬場だと温度が低くなっているので、お湯にボトルを浸けたりしながら温度調整をします。夏場は上がっていることが多いので、氷を入れて温度を調整します。

温度が分かれば、Massive Dev Chart Timer(アプリ)に温度を入力し、現像時間を確認します。
アプリが使えない方は、各現像液のパッケージやホームページに何度なら何分現像する。と現像時間の指定が記載されているので確認しましょう。

- 現像時間は温度によりけり
- 最初の30秒連続撹拌
- その後60秒ごとに10回撹拌
- 現像時間残り30秒で排水
現像液は、「ロジナール」を使い50倍に希釈します。
450mlのLPLタンクなので、現像液10mlと水440mlで希釈します。

現像液をタンクの中に入れたら、気泡を取り除くために、タンクの下をトントンと何回か床に叩きます。
最初の30秒は連続撹拌、その後は60秒ごとに10回の撹拌をします。
撹拌によって現像の進み方も違うので、自分好みの現像方法を探せるのも自家現像の醍醐味です。
現像は、残り30秒になったら現像液は排水し、停止液を入れます。理由は、現像液を排水してもフィルムに付着している現像液で現像が進んでしまうからです。

- 60秒停止
- 60秒連続撹拌
現像液を排水したら、「停止液」を入れて、60秒連続撹拌し、排水します。
クエン酸でも良いが、水道水を停止液として使っています。水でも問題なく停止液として機能しているので、出来るだけ薬品を使いたくない方はおすすめです。

定着液を排水したら、タンクに水を入れて水洗いをしています。
理由は、水洗促進剤の中に定着液が混入してしまうと、薬品としての効果が薄れてしまうからです。薬品を長持ちさせるために水洗いしています。

- 10分間水洗い
水道水をタンクに流し続けるという方法だと、ネガフィルム全体的を洗うことが出来ないので、タンクに水を入れて撹拌しています。
この方法だと、しっかり全体的に洗い流すことが出来るのでおすすめです。
このときに役に立つのが、深めのバットに貯めていた水を使っています

だいたい20回ぐらい撹拌水洗いして、水を入れ替えています。これを10分間繰り返します。

水洗いが終わったら、ネガに付いているであろう薬品や汚れなどを拭き取ります。
この工程は、やってもやらなくても良いような気がするが、良いネガを作るためにやっています。お祈りなようなものです。

スポンジで汚れなどを落としたら、「ペーパータオル」でネガフィルムに付いている水滴を拭き取ります。
スポンジで水滴を吸い取る方法もあるが、繊細なスキルを要するので吸水性の良いペーパータオルで拭きった方がダントツで早いです。
この方法ならドライウェルを使うこともないので、薬品を極力使わずにすみます。

水滴を拭き取ったら「フィルムクリップ」でネガフィルムの両端を挟んで吊るし乾かします。
これで、自家現像完了になります。
乾いたらデジタルスキャンしてスマホやパソコンに取り込んだり、引き伸ばし機で写真を楽しみます。

記事だけでは、分かりにくい部分もあるので、下記の動画はすごく参考になります。私も何度も見返しました。
自家現像の作例
この記事では、ミクロファインとロジナールの現像液で現像した写真を紹介していきます。
現像液によって、シャープさや粒状性の荒さが違うので、自分がどんな写真にしたいかで現像液を選ぶと良いですね。
使用フィルムは、どちらもILFORD HP5 PLUSです。
ミクロファイン




ロジナール




廃液の処理方法
自家現像をすると問題になるのは、薬品の廃液問題です。
私の住んでいる地域では、廃液を布などに染み込ませて燃えるゴミに出しても良い地域なので、地域のルールにしたがっています。
なので、自家現像を始める際にはお住まいの役所に問い合わせしてみて下さいね。
あと、廃液処理に関して、下記の記事は興味深いので一読しておくことをおすすめします。
自家現像のメリット
- 現像代が節約出来る
- 写真が出来るまでのことを学べる
- 自分の好きなように現像が調整出来る
- 写真を撮るのが楽しくなる
自家現像をする最大のメリットは、高い現像代の節約です。道具や薬品を揃えたら、店舗(約2,500円)に出すよりも安く現像することが出来ます。
その他にも写真が出来るまでの工程を知ることが出来るので、現像を上手くするには、良いネガ作りが大切なことを知り、写真を撮る楽しさを再確認することが出来ました。
自家現像は楽しいぞ。
自家現像のデメリット
- 失敗する可能性がある
自家現像をする最大のデメリットとしては、現像を失敗する可能性があることです。
私の例を上げると、しっかりリールにフィルムを巻きつけることが出来ずに現像ムラが起きたり、撹拌回数が少なくて現像ムラが起きたりしました。
主に現像ムラが失敗でしたが、しっかりルールを守って現像すれば、成功するようになります。何事も経験と慣れですね。
まとめ
自家現像は道具と薬品さえ揃えてしまえば、店舗で依頼するよりも安く出来るのでおすすめです。
写真が出来るまでの工程を知ることも出来るし、写真を撮るのがさらに楽しくなりますよ。
それでは良い、写真ライフを!
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